煎る!


今の時代、煎って何かを作る機会はほとんどなくなりました。


昔は節分のときにまく「鬼打豆」や、正月の鏡餅も砕いて煎ったそうです。

豆味噌をつくるにも、漬物のぬかみそをつくるにも、煎る道具が必要でした。

昔の人は煎る料理の知恵を会得していたのですね。


焙烙は、縄文時代の土器が発展したものだとも言われ、太古からある調理道具です。

日本で最初に栽培された穀物はもち米だそうで、蒸して食べる方法が導入される前に、煎った「焼き米」が、食べる方法としてあったとも言われています。

「煎る」は台所道具の中でも原始的な調理法。土器に近い。


とは言っても、今はスーパーに「いりごま」「煎り大豆」「ほうじ茶」など、すでに煎って売られるものがほぼ100%。私たちはそれに対してなんの不服もないし、疑問もない。当たり前のことして素通りしている。


実は私も台所道具を販売するまでは、煎ることに無関心でした。

studio482+で台所道具の販売をするようになり、焙烙の存在を知り、焙烙で煎りだして、はじめて「煎る」の役割を知ったわけです。

っていうか、

おいしくなる。

その理由だけで十分、煎る価値があるってもんです。


私が日常的に煎るのはごま、豆、茶葉など。

大豆を煎って「しょうゆ豆」を作ったり。↓



煎茶でほうじ茶を作ったり。↓



ジャガイモのほうろく焼き!

皿型の焙烙にジャガイモを入れて、ボールで蓋をして蒸し焼きに。1時間ぐらい弱火でじっくり火を通しましたか。土から掘り上げたそのままの「力」を焼いたような味。これは大ヒットでした。↓




***


日本伝統の煎る道具はいくつかあります。

まず、3つの道具をご紹介します。


1. 金網タイプ(ステンレス製)




2. 茶器型(陶器製)



3. 皿型(陶器製)



このような煎る道具がなければ、フライパンや雪平鍋などの鍋類でも煎ることができます。


1〜3はどれも「ごま煎り(器)」とか「焙烙」と呼ばれています。

地方で呼び名が違ったり、皿型を焙烙、茶器型をごま煎り器、と呼んでいるところもあります。

また、焙烙はほうらく、ほうろく、どちらで呼んでも間違いではなく、ほうらくがなまってほうろくになったとか、関東はほうろくと呼ぶとか...。

焙烙は素焼きの陶器で作られているため、調味料などの水分はご法度。ドライな食材を煎るための道具です。

ごま、玄米、豆類、ナッツ、茶葉...。



さて、本題です。

今回は道具によってどれだけ味が違うか、という実験を試みました。

使った道具は3つ。金網製のごま煎り器、陶器製のごま煎り、フライパン。


「洗いごま」ではなく「いりごま」を使ったのは、市販されているいりごまの味の変化を比較したかったから。



一番左から順に「有機いりごま」「茶器型」「金網型」「フライパン」です。

煎り時間は30秒前後。道具によってはそれより短い、長いはあります。


まず「有機いりごま」

食べると普通にいりごまの味。おいしいです。


「茶器型」

口に入れて噛み始めたら香ばしさが出てきて、あとの方でコクが感じられました。味も香りも増したという感じでしょうか。


「金網型」

火加減を茶器型のときと同じぐらいにしたせいか(弱めの中火)、ごまが若干焦げてしまいました。

焦げの味が残っておいしくない。また、煎り加減がムラになりました。

金網型を使う時は弱火でじっくり煎ることが必須。おいしく煎るには少し練習が必要だと感じました。


「フライパン」

わりとよい色になりました。

が、香りも味も飛んでしまい、味もそっけもない。これはフライパンだから? それとも煎り方に問題があったのか...。



実験は、時間も火加減もあまり均一ではありませんでしたが、それぞれの道具の特徴が顕著に現れたと思います。

ダントツにおいしかったのは茶器型の焙烙。

一番残念な結果だったのはフライパンでした。


あ、そうそう、今回はコーヒー豆も煎ってみました(夫が、ですけれど)。

生コーヒー豆を茶器型の焙烙で15〜20分ほど煎ったでしょうか。

煎りムラもあり、ツヤもなし、笑。超初心者だったのにも関わらず、とてもマイルドでおいしかったのには驚きました。焙煎の専門家しかコーヒー豆は扱えないと思っていましたけれど、素人でも焙烙さえあれば作れる!(コーヒー豆を煎るときは、それ専用の焙烙が必要です。コーヒーの脂や香りが染み付いてしまいますから。)



***


小さな実験でした。

が、

「煎る」は思った以上に、台所で活躍する素晴らしい調理法だということがわかりました。

焙烙(ごま煎り)を使いたいがために、煎る食材を探すくらい、笑、夢中になります。

この素晴らしい日本の伝統道具、焙烙が絶えませんように。





土楽・ごま煎り | studio482+ on the BASE

土楽の「ごま煎り」(焙烙)です。この道具は「焙烙」とも呼ばれ、ごまのほか、茶葉、塩、大豆、胡麻、玄米などの食材を煎る道具として昔から重宝されてきました。この土楽の窯で焼かれた「ごま煎り」はひとつひとつ、ろくろ引きにより成形しています。美しい模様「火だすき」は陶器にたすきを回したような茜色の線状が現れるもので、窯で焼くときに作品が触れ合うのを防ぐために藁を巻いた部分が赤く発色する現象のことです。このごま煎りは藁を上に乗せて焼き上げます。そのときの窯の状態や藁のかかり具合で、ひとつひとつ全く違った文様になります。濃い色、薄い色。どれも美しく個性的。ひとつとして同じものはありません。(画像2と3)遠赤効果があり、熱を保ちやすく、短時間でムラなく煎ることができるのが特徴です。握り手が一般のものより長く、持ちやすくなっています。*握り手を持つときは火傷をしないように十分気をつけてご使用ください。胡麻のほか、大豆、玄米、コーヒー豆など、いろいろな食材にお使いいただけます。煎茶で自家製ほうじ茶を作ることも!煎りたての香りと風味をお楽しみください。《ご使用方法》〔洗い胡麻を煎る〕「ごま煎り」を弱めの中火で2〜3分温めます。(コンロの上で安定しないときは、下に網をのせてください。)「ごま煎り」が十分熱くなったら火を弱め、上の口からスプーンなどを使って洗い胡麻を入れます(目安はティースプーン3杯。)握り手を持ち、遠火で左右に動かしながら煎ってください。しばらくするとパチパチと音がし、ごまのいい香りがしてきます。ごまを握り手元から出してください。(画像4)*伊賀の土は熱の持続時間が長く、余熱で煎ることもできます。「ごま煎り」を温め(弱めの中火)、火を止めてからごまを入れ、余熱で煎ります。煎りごまなど、短時間煎る食材に便利です。煎りごまの煎り時間は15〜20秒。洗いごまもこの方法がお使いになれます。途中で冷めてきたら弱火で火をつけ、煎りあげてください。〔ほうじ茶を作る〕「ごま煎り」を2〜3分温め(弱めの中火)、火を止めます。ティースプーン1杯半(1人分)入れます。遠火で揺すりながら煎ります。まもなく煙が出てきます。40〜50秒ほど煎り、茶葉をポットに移します。お湯を150ccほど注ぎ、1分蒸らします。*煎り時間はお好みで。〔大豆を煎る〕「ごま煎り」を2〜3分温めます(弱めの中火)。火を弱火

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